歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し(歯垢の蓄積)歯肉の辺縁が「炎症」を帯びて赤くなったり、腫れたりします(痛みはほとんどの場合ありません)。そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は歯を抜かなければいけなくなってしまいます。

この細菌のひとつが、アルツハイマー型認知症の脳に高頻度で見つかっているのです。また歯が抜けて「噛めなくなる」ことで、脳への刺激が減り、認知症のリスクが高まります。高齢者において、残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬、意志や思考の機能を司る前頭葉とよばれる脳の一部の容積が小さくなることが分かっています。歯周病の症状が重い患者ほど、半年後の認知機能の低下速度が速いことも明らかになっています。

アルツハイマー型認知症に歯周病が関係しているという事実を逆手に取れば、歯周病治療や口腔ケアをすることで、アルツハイマー型認知症の発症予防や、症状の軽減、進行を抑制できる可能性があるということなのです。では、予防はいつ頃から始めたらいいのでしょうか?どうやって歯周病を予防したらいいのでしょうか?

アルツハイマー型認知症の高い発症率を示す年齢層は、70歳代です。しかし、アルツハイマー型認知症の原因物質である「アミロイドβ」の脳への蓄積は、発症する10~15年以上も、前から始まっているようです。認知症の発症予防のためにも、少しでも早く、歯周病の治療を始める事が重要です。

予防法としては、正しいブラッシングの方法で毎日歯磨きをして、歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておく事が大切です。そして、歯科医院で歯肉の中まで入っている歯石を取り除き、炎症を引き起こす細菌を除去することです。歯の健康保持のためにも、歯周病治療や口腔ケア・専門的なクリーニングなどのメインテナンスを定期的に受けることが大切です。